滑空機設計における翼型性能データ利用のための
新しい解釈によるグラフ

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内容更新日 (Content Update):2019.02.12.
レイアウト更新日 (Layout Update):2024.10.08.

 滑空機の設計において翼型を選定するにあたり、各翼型の性能をグラフから読み取る作業を行なう。その際に使用されるのは、一般的に次のようなグラフである。

   A:揚力係数・抗力係数・モーメント係数を、迎え角をX軸に表したグラフ


   B:揚力係数・モーメント係数を、抗力係数をX軸に表したグラフ


   C:揚抗比を、揚力係数をX軸に表したグラフ


   E:最小沈下速度に係わる係数([揚力係数]/[抗力係数])を、揚力係数をX軸に表したグラフ



 設計者が知りたいのは最大揚抗比の時の揚力係数や最小沈下の時の揚力係数であるから、CやEのグラフは有効である。

 しかし一方で、飛行中は常に最良性能状態を保てるわけではない。鳥人間大会の滑空機部門のような場合、離陸後空中で加速を必要とするのであるから、その状態(最良滑空比時より大きい揚力係数の状態)も含めてどの翼型が最良かを吟味したくなる。
 その考えから、多数の翼型を比較検討するための新たなグラフを作成した。即ち、最良性能状態を1(基準)とした揚力係数X軸に持つグラフである。空中加速は何 km/h 速度が増えたかではなく最良速度の何%まで増えたかが問題になろうから、このようなグラフが有効と考えた。
 以下、Cグラフを改良したDグラフ、Eグラフを改良したFグラフを示す。

   D:揚抗比を、最大揚抗比時の揚力係数を1(基準)としたX軸に表したグラフ


   F:係数([揚力係数]/[抗力係数])を、最大係数時の揚力係数を1(基準)としたX軸に表したグラフ



 なお、例に挙げたグラフはアスペクト比12、主翼のみで胴体等の有害抵抗を含んでいない。有害抵抗を含めると、C~Fのグラフの山の頂点はかなり右(揚力係数が大きい方)へ移動する。つまりDグラフではX軸4近くまで伸びているが、有害抵抗を含めると1.2くらいまでしか伸びなくなる。