R/Cグライダー 新機計画 (2014.11.) page-02
  計画 ② 1.2mクラス練習機

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内容更新日:2017.06.07.
レイアウト更新日:2024.10.08.

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概略設計
b = 1.4 m
 (問題は AR (滑空比)ではなく W/S (スピード=低速)だから、 b 、 C を大きめにとって S をかせぐ。)

Cr = 200 mm 、矩形翼 → S = 0.28 m2 〜小さ過ぎ。

Cr = 240 mm ( A4 用紙最大) → S = 0.336 m2
 W = 0.80 kg として W/S = 2.38 kg/m2
 W = 0.90 kg として W/S = 2.68 kg/m2 まあ、こんなところか。








製作開始 (2014.12.31.)
 当方の都合でしばらく機体作りをできない可能性があるので、正月返上で作ることにした。オーナーの休暇が31日から5日までということで、2日を除いて毎日朝から夕方まで、自分の機体はそっちのけで2人でオーナー機を製作。設計から製作・飛行まで、自分の持つノーハウの全てを伝えるのが最大の目的。

1月1日:外翼の上反角が少ない事に気付いたが、桁を作ってしまったのでそのままリブ組みに入った。

1月4日:プランクを貼り、前縁を取り付け整形作業開始。

1月5日:フィルム貼り完了。

1月5日:前縁仕上がり形状。

1月5日:既存の胴体に付けて試験飛行。途中ノーコン状態で2度墜落。ラダーを切ってもバンクを直せず上反角不足が原因と思ったが、2度目の墜落時にラダーが動いてなかったような気がして、回収して調べたらラダーロッドのオーバースリーブ部がすっぽ抜けていた。幸い機体に損傷はなく、家に帰ってロッドを拭いて接着し直したら、いままでサーボの可変抵抗が磨り減って不安定に震えていると思っていたのがピタっと収まった。ロッドが汚れていてサーボに無理がかかっていたらしい。主翼面積・コード長共に自分の今までの機体に比べて大幅に増えたのでエレベータの効きが悪いのではと心配したが、縦操縦はわりと素直のようなので次のフライトが楽しみ。オーナーも、とにかく「飛んだ」と感激していた様子。写真は、試験飛行終了後に写したもの。一緒に飛ばした久慈市内のフライヤーはハンドランチの機体を持ってきて飛ばしたが、風に流されて戻せず墜落、胴体を真っ二つに折ってしまった。久慈近辺にはいいスロープがなく、練習の機会もなかなかないようだ。仲間として練習のチャンスを提供していきたいとは思う。
その後上反角不足を補うため翼端部を追加、胴体も完成した機体でオーナーは訓練を続けている。

     動画(1):(2017.5.21. / wmv / 13.0MB)
     動画(2):(2017.5.21. / wmv / 15.8MB)

尾翼設計 (2015.01.06.)
 主翼が完成し、胴体の設計製作に入る。試験飛行の結果、今までにないコード長(240mm。過去最大は200mm。)の主翼となったため、尾翼の大型化を考慮しなければならなくなった。特に水平尾翼は大きくしなければなるまい。しかし垂直尾翼は、上反角が少なめなので、横安定と方向安定のバランスを考慮してあまり大きくはできない。そこで、参考とするため実機の尾翼のデータを調べてみた。(重心位置に関するデータはほとんど公開されておらず、データを得るチャンスは少ない。)
 ※ 模型機は実機に比べて、レイノルズ数の関係で尾翼を大きく作るのが一般的である。

     S : 主翼面積
     c : 主翼空力平均翼弦長
     SH : 水平尾翼面積
     lH : 重心から水平尾翼空力中心までの距離
     VH : 水平尾翼容積(靜安定ファクター)=SH/S・lH/c
     VH' : 水平尾翼容積(動安定ファクター)=SH/S・(lH/c)2
     b : 主翼全幅
     SV : 垂直尾翼面積
     lV : 重心から垂直尾翼空力中心までの距離
     VV : 垂直尾翼容積(靜安定ファクター)=SV/S・lV/b
     VV' : 垂直尾翼容積(動安定ファクター)=SV/S・(lV/b)2


参考資料
機体名 SH/S lH/c VH VH' SV/S lV/b VV VV'
Ju 52/3m 0.16 2.9 0.46 1.35 0.058 0.81 0.047 0.038
DC-4 0.19 3.4 0.65 2.20 0.140 0.80 0.112 0.090
スーパーコニー 1049 0.28 4.0 1.12 4.48 0.18 0.96 0.173 0.166
DC-7 0.24 4.0 0.96 3.84 0.11 0.87 0.096 0.083
ブリタニア 100 0.28 2.0 0.56 1.12 0.21 0.71 0.149 0.106
エレクトラ 0.22 3.2 0.70 2.25 0.20 0.94 0.188 0.177
He 177 0.24 3.4 0.82 2.77 0.13 0.72 0.094 0.067
B-17E 0.25 2.7 0.68 1.82 0.13 0.76 0.099 0.075
B-36 0.20 3.4 0.68 2.31 0.15 0.61 0.092 0.056
Me109F 0.15 2.6 0.39 1.01 0.12 1.05 0.126 0.132
スピットファイア IX 0.13 2.4 0.31 0.75 0.082 1.01 0.083 0.084
コメット 4C 0.21 2.4 0.50 1.21 0.072 1.01 0.073 0.073
F-104A 0.28 2.0 0.56 1.12 0.40 1.19 0.048 0.057
現用2m機
 (主翼7+胴体4)
0.18 3.33 0.59 1.97 0.105 0.31 0.032 0.010
今回製作主翼
 +現用胴体4
0.16 2.13 0.34 0.72 0.095 0.44 0.041 0.018
青色欄 --> 出所:「航空機の空気力学の理論と実際」 三木鉄夫監訳
社団法人日本航空宇宙工業会 昭和53年

 垂直面については問題ないが、水平面はやはり足りない。現用胴体4の水平尾翼は25mm後方にずらせることから、それも加味して平尾翼諸元を次のように決定する。(胴体長は、バルサ材の規格から現用胴体長を延長するのは難しい。)
主翼(決定済み)
     S = 0.336 m2
     c = 0.240 m
     b = 1.400 m

第1案(上表数値から決定) 第2案(主翼を含めた平面図から決定)
   水平尾翼
     翼根コード長 = 0.160 m
     翼端コード長 = 0.100 m
     翼幅 = 0.580 m
     アスペクト比 = 4.31
     SH = 0.0728 m2
     lH = 0.480 m

   垂直尾翼(lV以外現用胴体4に同じ)
     SV = 0.032 m2
     lV = 0.530 m (胴体4は 0.610 m)
   水平尾翼
     翼根コード長 = 0.170 m
     翼端コード長 = 0.100 m
     翼幅 = 0.600 m
     アスペクト比 = 4.44
     SH = 0.0810 m2
     lH = 0.477 m

   垂直尾翼(第1案に同じ)

  SH/S lH/c VH VH' SV/S lV/b VV VV'
現用2m機
 (主翼7+胴体4)
0.18 3.33 0.59 1.97 0.105 0.31 0.032 0.010
今回製作主翼
 +現用胴体4
0.16 2.13 0.34 0.72 0.095 0.44 0.041 0.018
新胴体・第1案 0.22 2.00 0.43 0.87 0.095 0.38 0.036 0.014
新胴体・第2案 0.24 1.99 0.48 0.95

第1案


第2案



 第2案は平面図を描いて直感的に決めたものであるが、見た目にはこちらの方がよさそう。全体にノーズが長く主翼をもう少し前にずらしたいところだが、現用胴体4でこの位置でもノーズバランスをけっこう積んでいるので、尾翼大型化による重量増加も考えればこれ以上前にずらすと相当重いバラストを積まなければならいので、「胴体はノーズから310mm、主翼は25%コード位置(この翼型は25%に重心を置くのが最適)」は変更なしとした。
 また、胴体は他の主翼と組み合わせて使われる可能性が高く、常に少し大きめに作っておく必要がある。その意味でも、第2案が有利。

 以上の検討から、第2案を採用する。