3.新窯の製作 〜試験焚き〜
温度はゼーゲルSK9完倒(温度計示度1240℃)であったが、焼け方としては過去に焼いた1300℃レベルまで上がっている。左右の温度差はほとんどないようだったが、昇温中右バーナの火力不足を補うため左バーナより酸化ぎみに焼いたためか、右下段の還元のかかりが弱かった。全体として温度は高すぎたが、火力を抑えれば解決できる。
導入した耐火ボードもほとんど変形・変色しておらず、常用に耐えられるものと思われるので、ひとまず窯は「完成」したと見てよいと判断する。よって、今回の焼成を当窯の「初窯」として位置づけることにした。まだ細部の工夫は必要であるが、それは焼成を続けながら順次改良して行くことにする。
今後の改良点
1)外壁の断熱構造:前・後壁の断熱レンガを、右壁のように耐火土を間に挟んで再積上げ。
2)作業口の密閉:今は断熱レンガ(LBK−28、23)のみで閉じているが、今後2通りの方法を考えている。
①断熱レンガで閉じ、覗き穴部をくり抜いたブランケットを挟んで外側にB−1レンガを積んで押さえ、その外側を針金で縛る。(初窯ではブランケットを使わなかった。)
②このままでは窯左右の断熱効果が異なるので、同じにするためにまず耐火レンガで閉じ(以前と同じ方法)、ブランケットを挟んで断熱レンガ(B−1、覗き穴部はLBK)で外側を押さえ、針金で固定する。
3)作業口上の鉄アングルの交換と、焼けないようにする工夫:今までの素焼・試験焼で、作業口側を完全に密閉できずに漏れた炎でアングルを焼いてしまっている。アングルが破断すれば窯が崩れるので、アングルをステンレス材のものに交換し、密閉の工夫をする。
4)耐火ボードの接着固定:今回、ボードが変形・変色を起こすようであれば、数回の焼成ごとに交換しながら窯の運用を行なうつもりでボードは固定しなかった。そのため、焼成中にボードが傾いてきて狭い炎道を更に狭くする現象が起こった。耐火度が充足できており、非固定の意味がなくなったので、ボード用の接着剤を取り寄せて固定する。
5)アーチ上部の断熱:焼成のたびに耐火土を盛り上げている。しばらくこの作業を続ける。(乾燥収縮が大きいので、一度に盛らず、少しずつ何回も塗り付ける方法をとっている。)最後の回には盛った土が剥がれ落ちないよう、金網をかぶせてその上にひと塗りして完成となる。
6)煙突の完成:現在、最上部の5段はB−1レンガを仮置きしているだけなので、中古の耐火レンガで積み直してモルタル固定する。また、地震で崩れないよう、アングルで囲って、アームで小屋の梁に固定する。(そろそろ大きな地震が来そうな気がする。)
7)煙突背部の断熱:煙突部と小屋の壁が近く、煙突の熱で柱がかなり熱くなるので、間に波板鉄板を浮かせて固定する。
8)バーナ・システムの改良:左右バーナの火力のバランスを取るために流量計を、また、電磁ポンプを使えるよう油用の圧力調整器を、入手して活用したい。また、ブロワ出口ジョイントが未接着(仮押さえ)になっているので、既に入手してある新しいジョイントに交換する。