page.02-0006
内容更新日:2002.07.27.
レイアウト更新日:2024.10.08.
築窯日記  (5)

  3.新窯の製作 〜試験焚き〜

 
 4月13日、内部掃除、バーナ炎道作り、カラ焚き。
 4月19日、外壁にモルタル・保温用盛土を塗りつける。(盛土だけではレンガから剥がれ落ちると考え、耐火モルタルを下地として最低厚みで塗りつけた。)
 バーナを組んでカラ焚き。炎の回りはまあまあだがエアが充分出ておらず、燃料も最大6 l/h 程度で、7時間かけて700度くらいまでしか上がらなかった。エア・パイプをもっと短く、太いパイプに換えてみようと思う。  盛土塗り。いきなり厚塗りせず、窯を焼いてはヒビ割れの様子を判断しながら塗り重ねていく方が良いだろう。
 
 4月20日、ブロワ・パイプを改修。
 4月21日、試験焚き。エアの出は、以前より良くなった。
 
 
 
 4月23〜26日、金網をかけての盛土つけ。
 
 盛土つけ後、土を叩いて締めながら乾燥中。
 
 4月28日、空焚きで盛土を乾燥。やはり熱ロスは大きいと見る。
 4月30日、作業口用断熱レンガの購入を交渉、決定。
 
 5月8日、窯まわりを断熱レンガで囲って、初めての素焼き。
(木村レンガから運んだ断熱レンガは、一回目165枚+二回目126枚=計291枚。)
 
 火口の形状を工夫。
 
 その後しばらく、断熱材を探し回る。素焼きを本格的に行なうために、製作に励む。
 6月10日、素焼き。
 6月13日、右側外壁に貼り付けたB−1断熱レンガをLⅢ段まではずし、内側の耐火レンガと外側の断熱レンガの間に2cm位の耐火土(半崎土)を挟んで積み直す。
 作業口レンガのカット、完成。イソライト製LBK−28、LBK−23(各SK35以上、SK32相当品として購入)を使用。
 
 耐火レンガと断熱レンガとの間に隙間を作って土を詰める。  作業口レンガ完成。
 
 6月14日、炎道作り。LBK−28を加工。14mm厚の薄板4枚、炎曲がり2個を製作・取付け。もし熱で焼けて使いものにならなくなったら取り替えがきくように、接着はしないことにした。
 6月17日、耐火ボード(イソライト製1600HA)・ブランケット(同イソウール1500、10P)が到着。炎道加工を完了。窯詰め開始。
 6月18日、本焼。午前0時、火入れ。
 
 薄板と炎曲がりの配置状態。薄板はLⅡ段の内側張り出しの下(LⅢ段)を埋めるためのもの。  炎道を耐火ボードで囲う。
 本焼中。12:50頃、温度(下)1050℃+。
 
 6月20日、窯出し。
 
 温度はゼーゲルSK9完倒(温度計示度1240℃)であったが、焼け方としては過去に焼いた1300℃レベルまで上がっている。左右の温度差はほとんどないようだったが、昇温中右バーナの火力不足を補うため左バーナより酸化ぎみに焼いたためか、右下段の還元のかかりが弱かった。全体として温度は高すぎたが、火力を抑えれば解決できる。
 導入した耐火ボードもほとんど変形・変色しておらず、常用に耐えられるものと思われるので、ひとまず窯は「完成」したと見てよいと判断する。よって、今回の焼成を当窯の「初窯」として位置づけることにした。まだ細部の工夫は必要であるが、それは焼成を続けながら順次改良して行くことにする。

 今後の改良点

 1)外壁の断熱構造:前・後壁の断熱レンガを、右壁のように耐火土を間に挟んで再積上げ。
 2)作業口の密閉:今は断熱レンガ(LBK−28、23)のみで閉じているが、今後2通りの方法を考えている。
  ①断熱レンガで閉じ、覗き穴部をくり抜いたブランケットを挟んで外側にB−1レンガを積んで押さえ、その外側を針金で縛る。(初窯ではブランケットを使わなかった。)
  ②このままでは窯左右の断熱効果が異なるので、同じにするためにまず耐火レンガで閉じ(以前と同じ方法)、ブランケットを挟んで断熱レンガ(B−1、覗き穴部はLBK)で外側を押さえ、針金で固定する。
 3)作業口上の鉄アングルの交換と、焼けないようにする工夫:今までの素焼・試験焼で、作業口側を完全に密閉できずに漏れた炎でアングルを焼いてしまっている。アングルが破断すれば窯が崩れるので、アングルをステンレス材のものに交換し、密閉の工夫をする。
 4)耐火ボードの接着固定:今回、ボードが変形・変色を起こすようであれば、数回の焼成ごとに交換しながら窯の運用を行なうつもりでボードは固定しなかった。そのため、焼成中にボードが傾いてきて狭い炎道を更に狭くする現象が起こった。耐火度が充足できており、非固定の意味がなくなったので、ボード用の接着剤を取り寄せて固定する。
 5)アーチ上部の断熱:焼成のたびに耐火土を盛り上げている。しばらくこの作業を続ける。(乾燥収縮が大きいので、一度に盛らず、少しずつ何回も塗り付ける方法をとっている。)最後の回には盛った土が剥がれ落ちないよう、金網をかぶせてその上にひと塗りして完成となる。
 6)煙突の完成:現在、最上部の5段はB−1レンガを仮置きしているだけなので、中古の耐火レンガで積み直してモルタル固定する。また、地震で崩れないよう、アングルで囲って、アームで小屋の梁に固定する。(そろそろ大きな地震が来そうな気がする。)
 7)煙突背部の断熱:煙突部と小屋の壁が近く、煙突の熱で柱がかなり熱くなるので、間に波板鉄板を浮かせて固定する。
 8)バーナ・システムの改良:左右バーナの火力のバランスを取るために流量計を、また、電磁ポンプを使えるよう油用の圧力調整器を、入手して活用したい。また、ブロワ出口ジョイントが未接着(仮押さえ)になっているので、既に入手してある新しいジョイントに交換する。


築窯日記 Index へ戻る