別紙 入会林野と入会権


一、入会林野
 1、入会林野とは何か
  ・  一定の地域に住む人々が、集団的に、共同で利用し、管理している山林原野。      
  ・  所有者が誰かは問わない。(部落の共有地、市町村有地、個人)
 2、歴史
 ・  徳川時代、林野は農地と異なり村や部落を単位としてそのおきて(・・・)やしきたりによって管理、利用されてきた。
 ・ 明治初年の地租改正、明治22年町村制度、明治31年民法制定により土地所有権制度が確立し、入会林野の管理、 利
   用は入会権として認められた。

二、入会林野と入会権
    部落の人々が入会林野を共同で管理し、利用する権利を「入会権」という。

三、入会林野の利用目的
    利用目的に制限はない。
 ・  @天然の産物をA生活に必要な現物を採取する権利であるといえるが、 近時の判例(別記)に見られるように、生活様式等
    時代の変化に応じ利用の態様も変わるものとの認識がされている。天然産物の採取に限られるわけでなく、育林、農作物の作
    付け、果樹の栽培、牧草地の造成など利用の範囲は広い。

四、入会権
1、法律上の規定  
  ・ 民法263条    ・  民法294条
  入会権は慣習上の権利である。 慣習を法源とする物権である。
2、民法制定経緯
 ・ 制定時の調査では管理利用の実態、権利の具体的内容がその地方で慣習(しきたり) が違うことが明らかとなったため、物権と
    して認める事でそれ以外は各地方の慣習を尊重しようとしたものである。
3、物権としての特殊性
 ・  入会権の内容については、法律の条文ではなく各地方の慣習によって決められる。
 ・  不動産登記法による登記をすることが出来ない。
4、特殊な性格
 ・  内容は各地方の慣習に従う。・  一定の部落に住むものが持つ権利である。
 ・  世帯が持つ権利である。    ・  相続されない。
 ・  他人に譲ることが出来ない。・  登記がなくても第三者に対抗できる。

五、入会集団
1、入会権の主体としての部落
 ・  部落と住民との関係は、部落という集団が入会権をもつけれどもその入会権は部落住民のもつ入会権の総和である。    
    部落住民は個々に入会権をもつがその権利は部落という集団のもつ入会権の管理統制下におかれたものである。
2、部落から転出すれば入会権を失う

六、入会権の消滅
1、 入会権が消滅するといわれている一般的事項
  @  土地の水没などやその他の理由により入会地としての管理が不可能になった合。
   A  土地収用や未こん地買収などのいわゆる強制収用が行われた場合。
   B  入会権者(入会集団)が入会権を放棄した場合。
  C  林野に対する入会集団の統制がなくなった場合。
  D  入会林野近代化法によって入会林野整備を行った場合。