1 補償対象者となるもの


文は正しいですか

 「公共用地の取得に伴う損失補償基準」(昭和37年10月12日用地対策連絡会決定。(以下「用対連基準」という。)に関し土地等の取得又は土地等の使用に関する次の記述のうち、妥当でないものはどれか。
1 土地等の権利者に雇用されている者が職を失う場合において、その者の請求により、離職者補償をすることができる。
生活共同体から分離される者が生ずる場合において、その者が再就職するまでの期間中所得を得ることができないと認められるときは、その者の請求により、少数残存者補償をすることができる。
3 残地に存する物件に関して、通路、みぞなどの工事の必要が生じるときは、残地の所有者の請求により、残地等に関する工事費の補償をすることができる。

説明

・過去の試験からのピックアップですが、面白い問題です。完全正解(間違い文) は3ですが、後で2も正解とされました。それにしても2の文章は面白い構成です。少数残存者補償を解雇手当とか離職者補償との組み合わせですがあり得ない話でも無さそうにも思えます。しかしやや短絡的、間違い文とされました。

・少数残存者補償は補償基準の終盤、その他の措置として特別な位置づけにあります。本来の取得や使用、それに伴った損失補償とは異なり、起業地の枠をはみ出した補償です。このその他の措置として少数残存者補償、隣接土地に対する工事費の補償、離職者補償がありますが、全て事業損失といえます。少数残存補償と離職者補償を生活権としての生活再建上の政策的補償(措置)と捉える方もいます。

・基準策定時の姿勢は起業地外の不利益、損失、損害は別途事業損失の取扱 いとしながら、この その他の措置はどうしたことか入ったんですね。

・少数残存者補償は昭和28年閣議了解の電源開発ダムの補償基準に既にあったということでその踏襲でしょうか。ついでにこの電源開発基準には精神的慰謝料相当の謝金がありました。

・少残補償は事業による移転から取り残されたものの不利益で、要点は@請求A受忍限度を超える(社会的経済的に)B適切補償でしょうか。

・Aは定義はありませんが、顧客減で生業が成り立たないとか 職場の消滅、日用品の購入、遠距離通学、緊急医療機関等ありそうですが、単なる不便ではなく時代性もあって難しいことでしょう。

・Bの補償例は土地の買収はなく、宅地部分は林地等への地目差補償、建物及び建物以外の工作物、 立木等移転は宅地周りだけ、通損は補償しているようです。

・寒河江ダムでは遠距離通学にスクールバスの運行費用15年分を補償した例があります。

参考 寒河江ダム