22 土地の返還に伴う補償


文は正しいですか

 土地の返還に伴う補償で原状に回復する場合は、原状回復に通常要する費用相当額、及び原状回復に要する期間中の地代又は借賃相当額を補償する。この場合、土地等の使用料の総額と土地等の返還に伴う補償額の合計額が当該土地の価格を超えてはならない。

説明

・今年は復興道路での工事用道路の測量業務が多いと聞きましたが、工事用道路、資材置き場、ヘリーポート等の一時使用、また大河川市街部でのスーパー堤防でも嵩上げ工事期間は土地使用をしていますが、土地の使用を終え返す時の補償額の限度額についてです。
 設問には本来目的の工事期間中賃料と原状回復に必要な期間の賃料両方の合計額を含め対比するように記されていますが、条文(第58条)には原状回復に要する期間中の地代又は借賃相当額のみです。設問の土地等の使用料の総額の文言は不要という事です。

・原状回復の上返還すると云う合意のもと契約することは多分にあり得ます。いざ返還となった場合に「工事費等が土地価格を超えてしまいますので・・」は論外、契約不履行です。
 基準上では58条2項に原状回復が困難な場合の返還時の原状のまま引き渡す「地目差補償」がありますが、これは土地収用法第80条の2の規定との関係で事前補償としなければなりませんので、「元の状態に戻せ」という意思には応じられません。蛇足ですが金銭補償としてはできないとしても事業者が回復させる現物補償は逸脱でしょうか(ウーン)。
 いずれ使用前と後では対応が違ってきますが事前の見極めが必要です。

・基準25条の2に土地の使用に代わる取得がありますが、その2項にこんな対比の条文があります。
使用する土地の賃料総額と移転料等の補償額が土地を取得した場合の土地代金と補償額を超える場合はその土地を取得することができる。(あくまでできる規定)

・農地については一時使用の場合の相続税の納税猶予の特例とか農地転用の手続きも関係してきます。