造作等の態様は種々雑多、造作と称される建具、雨戸、電気ガス水道の類から風呂やトイレの改修、屋根壁の補修、場合によっては部屋の増築などもこの項目に入ってきます。
貸借関係の解消にあたっては、賃借人が負担した費用の一部について返還してもらう償還請求権(民法608条1項の必要費、同条2項の有益費)と借地借家法33条にも造作買取り請求権があり、清算に法的関係が絡む難しいものがあり、よく解っていませんが、基準改正当時建物所有者と契約、支払う事とされたと思っていましたが、どうも委任払いが出来るとなっているようです。
問の解説内容を記しておきます。
問1は、用対連基準細則第15第1項(7)民法242条の規定によるによる原則論。
問2は、借家人が附加した造作等が、建物本体から分離可能で独立した経済価値を有する場合には、民法242条本文の規定による不動産に動産が従として付合している要件(動産が不動産と一体化する又は分離することができても分離により社会経済的にみて著しく不利益になる状態を生ずる等)を満たさず、借家人に対して補償することになるため、妥当である。
問3は、原則として補償金は土地等の権利者に対し直接支払うこととされているが、委任代理人に支払うことも可能とされている(参考例:地方整備局用地事務取扱細則準則(平成13年1月15日国総国調第5号)30条参照)。さらに、借家人は附合が生ずる結果(所有権を失ったことにより)損失を受けた場合には、建物所有者に対して、不当利得による償金を請求することができるとされている(民法248条、703条)。これらのことから、実務上は、建物所有者・借家人の両者同意のもと、造作等を附加した借家人の円滑な補償金受領を確保する観点から、委任払いによる対応も行われているため、妥当である。
(用地補償実務研究会から)
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