47 契約後の追加払い


文は正しいですか

  用地買収が始まって2年になりますが、土地価格の高騰により今年の買収単価は13パーセント増しだそうです。初年度に契約した私は善意の協力であり、代替地もこれから求めますので割り増し分を追加払いしてほしいのですが。


説明

(補償額算定の時期)
基準第3条 土地等の取得又は土地等の使用に係る補償額は、契約締結時の価格で算定し、その後の価格変動による差額の追加払いはしないものとする。   

この条文は収用対象となる土地や権利等に言及した条文になっていますが、その他通損についても準用するものと考えられ、補償額は、契約締結時の価格とされています。条文どおり価格変動による差額の追加払いはしませんし、契約書にも追加払い条項を載せることは出来ません。

過去の話ですが確かに預金金利が年7%程度といわれたとき土地価格がその倍も値上がりしたときがありました。資金運用は土地という時代、先んじた契約は善意です。

土地価格の高騰は一般的需要の値上がりのほかにそこに道路が出来ると利便性が良くなることの価値、起業利益分というのがありますが、買収価格に起業利益分をどうするか議論されたこともあります。正常価格には嫌悪施設計画による値下がり分は考慮しないという基準になっていますが、企業利益についてはまま明確ではなかったかもしれません。

 ある公共事業で、外地滞在中の土地所有者が、家族を代理人として契約をし、数年後帰って周辺土地価格が高騰していることから、「追加払いする約束であった」という理由を論拠に裁判があったと聞いたことがあります。 基準や契約書を明示すれば明白なことですが、云った云わないという次元だとすれば、交渉の原点に戻り、交渉は複数人で行う、交渉記録を丁寧に記載するということも大事でしょう。