[序文]
これは、もともと自分の技術アップのために書いたものです。20年ほど前、ある
コンピュータ・プログラミングの勉強会で、ある一つの動作(たとえば、朝起きる)を、
これ以上分解できなくなるまで細かい動作に分解してつなげる(フローチャートの作成)
という学習をやっていたそうです。多分、次のようなものになったでしょう。
[目覚ましが鳴る]−[目が覚める]−[目覚し時計へ腕を伸ばす]
−[目覚ましを止める]−(人によっては[再び眠る]−[目覚ましが鳴る]へ戻る)
−[掛け布団をハネる]−[上体を起こす]−[あくびをする]−[布団から出る]...
自分は、このフローチャート作成作業をパスについて行うことで、細かい多くの項目の
中から自分のパスの欠点を見出し、それを直そうと考えたのです。
その後、小学生を指導する機会があって、小学生は体力や試合上の作戦能力
よりも、将来バレーを続けるために最も基本となる技術をしっかり身につけさせるべき
と考え、パス指導のために新たに書き直しました。
[本文] 1997年3月作成
バレーボールにおいて、最もむずかしい技術であるパスについて、練習の目標を
はっきりさせるためにその過程を細かく分類した。日々の練習の中で、今、自分が何を
練習しているかをつかんでおく事により、充実した練習が行えることになろう。
Ⅰ. 大分類
1. 「構え」
2. 「構え」から「受け」への動き
3. 「受け」の準備
4. 「受け」
5. 次の動作への準備
Ⅱ. 細分類
1. 「構え」
① 「高い姿勢」での構え
2. 「構え」から「受け」への動き
② ボールを受ける位置とタイミングの読み
③ パスの送り先の決定 (周囲の状況判断)
④ オーバーで受けるかアンダーで受けるかの決定
⑤ 落下点へ正しく入る 〜《別項.A》
3. 「受け」の準備
⑥ 送り先の位置確認
⑦ 相手に正対する(向きの補正)
⑧ 相手、ボールを受ける位置、自分の目を、一直線上に合わせる(位置の補正)
⑨ 下半身の「受け」の準備 〜《別項.B》
⑩ 上半身の「受け」の準備 〜《別項.C》
⑪ 待ち
4. 「受け」
⑫ ボールに対する「目付け」
⑬ ボールに向かって動き始めるタイミング
⑭ この時の上・下半身のタイミングのバランス
⑮ ボールをとらえる 〜《別項.D》
⑯ ボールをとらえた瞬間、送り先の目を見る
⑰ ボールの押し出し 〜《別項.E》
5. 次の動作への準備
⑱ 「構え」の直前の状態
《別項.A》 落下点へ正しく入る
a. 位置
b. 向き
c. 腰の落とし方
《別項.B》 下半身の「受け」の準備
a. 両足の開き
b. 足にかかる重心
c. ヒザの曲げぐあい
《別項.C》 上半身の「受け」の準備
(オーバー・パスの場合)
a. ヒジのはりぐあい
b. 指の構え(指、手首の形)
c. 左右のバランス
(アンダー・パスの場合)
a. ヒジをまっすぐ
b. 腕の角度
c. 手の組み方
d. 左右のバランス
《別項.D》 ボールをとらえる
(オーバー・パスの場合)
a. ボールはモモで受ける感じ
b. 5本の指の使い方
c. ボールをとらえる位置(高さ)
d. 手首のクッション
e. ボールのコントロール
(アンダー・パスの場合)
a. ボールは、ヒザ上5センチのところで受ける
b. 腕のしぼり方
《別項.E》 ボールの押し出し
a. 上・下半身のバランス
b. 押し出し方
Ⅲ. 各項解説
① 「高い姿勢」での構え
バレーボールには「高い姿勢」と「低い姿勢」の2通りの姿勢がある。「高い
姿勢」とは、上体を低く、下体は適度にのばして腰を高く、両足を適度に
開いた、最も動き出しやすい姿勢である。「低い姿勢」とは、たとえばオーバー
パスの場合、下半身の伸び上がりによってボールの送り出しに力を与える
ために、ボールの落下点で上体を起こしてオーバーパスの構えをとり、下体は
ヒザを充分に曲げて腰を低くする姿勢である。低い姿勢は、ある1つのプレー
をするための姿勢であり、高い姿勢のように自由に動くことはできない。
ボールがどこへ来るか、どんな質のボールが来るかわからない段階では、
プレーヤーは常に「高い姿勢」をとっていなければならない。指導者の中には
ていねいさを要求するあまり、この段階で低い姿勢をとらせる場合がある
ようだが、これはまちがいである。なお、どちらの姿勢においても、かかとは
常に床から浮いていなければならない。
② ボールを受ける位置とタイミングの読み
ボールが上がった瞬間、自分がそのボールを受ける平面上の位置(時として
高さ)と、ボールが手中に収まるそのタイミングを読み取らなければならない。
これは、ボールに追いつく余裕のあるなしの判断をするという事のほかに、
ボールから一度集中力を周囲に向ける必要があるために、この時点である
程度正確に把握しておかなければ正しいパス動作が行えなくなるおそれがある
からである。この読みが悪いと、ボールから全く目が離せずに周囲の状況変化
に対応できなかったり、周囲に気をとられてボールを見失ったりする事になる。
ボールを少なくとも視界中におけば、微調整が可能になり、より正確なパスが
行える。
③ パスの送り先の決定 (周囲の状況判断)
ボールを受けるまでに時間的に余裕があって、かつ送り先の相手の準備が
整っているのであれば特に問題はないが、そうでない場合は送り先を変更しな
ければならない。この場合、周囲を見て誰にパスを送るかを決定しなければ
ならない。しかしこの時、ボールから完全に目を離してはいけない。初心者は
ボールを主に周囲を見るように、熟練者は周囲を主に見ながらボールを
視界の中に収めておくようにすると良い。
④ オーバーで受けるかアンダーで受けるかの決定
ボールを受ける位置と送り先との位置関係により、まわり込む余裕、受ける
タイミングとボールを追う距離により、時間的余裕、そして上がったボールの
高さなどから、追いかけ始める段階で、このボールをオーバーで受けるか
アンダーで受けるかを決めてしまう。この時点で判断をあいまいにしておくと、
ボールに追いつけなかったり中途半端な形のパス・ミスを犯すことになる。
⑤ 落下点へ正しく入る
a. 位置
最初に読み取った位置から微調整を経て、より正確な位置を割り出し、その
下に入る。なお、オーバーとアンダーではボールを受けるポイントが異なる
ので、入る位置も異なる事に注意しなければならない。
b. 向き
送り先の相手の位置を考えて、相手の方を向いて落下点に入る。アンダー
の場合、オーバーよりボールを受けるポイントが前にあるため、より大きく
まわり込む必要が出てくる。そのため、上がったボールの高さに余裕がある
限り、オーバーでパスした方が良い。
c. 腰の落とし方
「高い姿勢」、「低い姿勢」とは腰の高低を指しているのであるが、落下点に
入った時は腰を落として「低い姿勢」になっていなければならない。高い姿勢
から低い姿勢への移行については、パスに限らずある一定の法則がある。
それは、「高い」から「低い」へまっすぐ腰を落としていく、という事である(下図
①)。よく見られる誤りは、高い姿勢のまま走って来てその場で低い姿勢に
変える移動方法である(下図②)。このようなやり方で腰を落とすと目の高さが
急激に変化し、ボールが見えているようで、見失っている場合が多い。
(図①) 正しい腰の移動 (図②) 誤った腰の移動
(点線は目の高さ、太線は腰の高さを示す。)
なお、ボールを追う距離がある場合は、途中まで高い姿勢のまま移動し、ある
ところからスムーズに腰を落としていくようにする(下図③)。
(図③) 距離がある場合の腰の移動
⑥ 送り先の位置確認
ボールを主に見ながら、送り先の位置を最終的に確認する。余裕があれば、
一瞬ボールから目を離して相手(周囲)を見てもよい。
⑦ 向きの最終補正
送り先の位置を確認したら、これに正対するように向きを補正する。
⑧ 位置の最終補正
特にオーバーパスは、左右の手にバランス良くボールを受けないと正確に
パスを送る事は困難である。ボールを送る相手の位置(又は相手がボールを
受ける位置)、自分がボールを受ける位置(左右)、自分の目(オーバーの
場合は両手の中央に目があること。アンダーの場合は目から相手に向かって
まっすぐ腕を伸ばすこと。)この三つが一直線になるよう、自分の位置を補正
する。
※ 「向き」について
ボールが来る方向とパスを送る方向が異なる場合、入射角と反射角の原理
を応用して、その中間を向くのだという考え方がある。しかし現実にはボールが
来る時はそのボールに正対しているのが理想であり、パスを送り出すときは
その方向に正対しているのが理想であるから、どこかで向きを変えなければ
ならない。ただし、ボールを受けながらひねるのは良くない。ボールをとらえた
瞬間は、どちらかというとパスを送る方向を向いていないといけない。この事
から、解説中「向き」については、送る方向に正対するものとした。ボールの
来る方向と送る方向の角度が小さいときは、送る方向を向いてしまっていた
方が良い。角度が直角に近い時が最もむずかしくなる。
⑨ 下半身の「受け」の準備
a. 両足の開き
左右の足の開きは、肩幅程度が良い。前後の開きは、多少は良いがあまり
大きく開くと腰が正面を向かなくなるので良くない。腰が横を向くと、左右の
腕の長さが変わって正確な方向コントロールができなくなる。(左右の腕を
まっすぐ伸ばしておいて右の腰を引けば、右の指先が左より後ろに下がって
しまう。)特にトスをする時に、この点に充分注意しなければならない。もし
足が少し前後して構えている時も、ボールを送り出したあとに両足がそろう
ようにすると良い。
b. 足にかかる重心
移動中や構えの時もそうであるが、常につま先の方にかかっていなければ
ならない。かかとはもし床についても、重心はかかとにかかってはならない。
c. ヒザの曲げぐあい
パスを送り出す力を出せるよう、充分に腰を落とす。(「低い姿勢」=ヒザを
前に出して体を低くする。)なお、アンダーパスの場合は、最初から床すれすれ
の高さでボールをとらえるつもりで落下点に入ると、相当に余裕が出てくる。
⑩ 上半身の「受け」の準備
(オーバー・パスの場合)
a. ヒジのはりぐあい
ヒジは低すぎず高すぎず、パンタグラフのような形にする。また、ヒジの開き
具合も適当でなければならない。多くの人のパスの形を見て研究する必要が
ある。
b. 指の構え(指、手首の形)
五本の指を軽く広げ、両手親指と人差し指でオムスビ型を作る。指に力を
入れて大きく広げてしまうとボールをとらえた時にクッションが効かないので、
ボールより少し小さめのものをつかまえるくらいに広げる。また、手首が返り
過ぎないよう注意する。
c. 左右のバランス
右手と左手が全く同じ形になっていないといけない。
(アンダー・パスの場合)
a. ヒジをまっすぐ
ヒジを曲げない。伸ばしたままパスをする。
b. 腕の角度
サーブ・カットやアタック・レシーブと違い、アンダー・パスの時は腕は水平
近くまで上げる。そして、その角度を保ったままパスをする。
c. 手の組み方
手の組み方は種類があるが、一つの形をしっかりマスターしていれば良い。
d. 左右のバランス
特に、組み手がはずれて左右バラバラにならぬよう注意する。
⑪ 待ち
ボールを受けるまで、特に下半身の体勢をくずさないようにしてボールが
近づいて来るのを待つ。ほとんど全ての初心者は、ボールを待ちきれずに
下半身が先に伸びてしまう。低い姿勢のまま待つのは体力が必要で
あるが、これを怠るとボールに充分力を加える事ができないばかりでなく、
ボールをとらえるコントロールも狂うことになる。
⑫ ボールに対する「目付け」
武道では、敵対する相手を見すえながらも不意をくらわぬよう常にまわりに
目をくばる。動作をしながら、どの瞬間にどこを集中してみるか、これを
「目付け」という。パスの場合も、近づいて来るボールをずっと集中して見て
いると周囲の状況判断ができないし、本当に近づいて来た時には集中力が
切れてしまう。ある瞬間に集中してボールを「見」た方が、より正確な判断が
できる。なお、パスにおける「目付け」は、ボールの軌道を見極めるよりも、
ボールが手中に入るタイミングをはかるのが最大の目的である。たとえば
1m先にボールが来た時に集中して「見る」。つまり「目付け」を1m先に置く。
そしてボールが手中に入った時のタイミングを覚える。1m先から手中に入る
までの時間を「リズム」として覚えるのである。その上で、より速い(高い)
ボールが来た時は、同じリズムで手中に入るよう1.5mとか2m先に
「目付け」を変えるのである。逆にゆっくりしたボールは1mより近いところに
「目付け」を置かなければならない。どの速さの時にどのくらいの距離に
「目付け」を置くかは経験を積んで会得するしかないが、同じ速さでもより近い
距離に「目付け」を置けた方がより正確にボールをとらえる事ができる。これを
俗に「ボールを引きつける」と言う。パスではこの「目付け」はあまり重要では
ないが、トスになるとボールを完全にとらえて正確にコントロールしなければ
ならないので「目付け」は重要な技術となる。なお、オーバー・パスの場合は
手先でボールをとらえるのではなく、ヒジでとらえるような感じで「目付け」を行う
とよい。よりボールを引きつけることができる。
⑬ ボールに向かって動き始めるタイミング
動き始めるのは、ボールをとらえる直前である。ボールをとらえてから動き
始めては力が加わらないし、早く動き始めてしまうとボールをとらえた時には
体が伸びてしまって、この状態からは力が入らないために体が伸びた勢い
だけでボールを飛ばそうとするからボールとけんかになってしまう。(突っぱ
ねるようなパスになる。)ボールをしっかり手中に収めて押し出すためには、
ボールが手中に入った時に体が少し伸び始めているくらいが良い。
⑭ この時の上・下半身のタイミングのバランス
上半身と下半身は、同時に伸び始めなければならない。ほとんどの初心者
において、下半身の伸び始めが早い。「下半身でパスをする(ボールを送り
出す)。」事を強く意識すれば、この傾向は防げる。常々、下半身に気持ちを
集中させたプレーの練習を心がけるとよい。
⑮ ボールをとらえる
(オーバー・パスの場合)
a. ボールはモモで受ける感じ
本当にモモで受けると前過ぎであるが、このようなフィーリングでボールを
受けると良い。ただしトスの場合は、バックも含めて全ての方向にボールを
送らなければならないので、ひたいの上でボールをとらえる必要がある。
パスは前方に送るのがほとんどであるから、モモで受ける感じで良い。
b. 5本の指の使い方
五本の指全部を使い、五本の指が同時にボールに触れるようにボールを
すっぽりと手中に収める。ボールが手中でぐらついてはいけない。だからと
いって指に力を入れておさえつけてもいけない。指に力が入ると、手首や肩
にも余計な力が入って動きがぎこちなくなる。全てのプレーに共通して言える
事であるが、力の入れ方よりも力の抜き方を勉強した方が良い。パスを
飛ばす力は下半身の支えと手首のクッションであって、五本の指はボールが
手中でぐらつかないようにするのが仕事である。
c. ボールをとらえる位置(高さ)
前後位置については a.項に述べた。高さ位置は、指がボールに触れる
のはおでこより少し上であるが、腕は前に出て行ってもボールの重みの反動で
手中に収まった時は少し下がり、おでこのあたりになる。
d. 手首のクッション
手首はやわらかく使って、ボールは自身の重みで手中に収まるようにする。
手首を意識して引いてはいけない。手首は前に出て行きながら、ボールの
重みで一瞬下がるのである。これによりボールを手中に収め、重みの反動
(バネ=クッション)を利用して押し出す。この時適度に手首に力を入れるが、
バネと力を入れるタイミングが重要になる。最初は手首の力を抜く事により
クッションにするのであるが、手首を引く方法を覚えてしまうと手首や指に力が
入っていてもパスができるので、本当に手首がクッションとして機能しているか
どうか(力が抜けているかどうか)がわからなくなる。
e. ボールのコントロール
ボールが手中に「止まる」瞬間に、ボールの方向、いきおい(反動)をコント
ロールする。手首を引く方法だとコントロールは、引いて止まってから押し出し
ながらのコントロールで時間的に幅があるのに対し、手首のクッションを使った
パスでは「とまる」一瞬間のコントロールである。会得するには器用さが要求
される。
(アンダー・パスの場合)
a. ボールは、ヒザ上5センチのところで受ける
ボールをとらえる前後位置である。よく体の重心位置として「腰」があげら
れるが、これは静止している時のこと。はげしい動きをしている時は「ヒザ上
5センチ」が中心と考えた方が良い。そして、この中心でボールを受けるので
ある。オーバー・パスを「ヒザ上5センチ」で受けるとあまりに前過ぎるため
モモで受け、トスは腰にのせる。
b. 腕のしぼり方
ボールをとらえる瞬間、腕をしぼる。同時に下半身でボールを送り出す。腕の
しぼりと下半身でコントロールをつける。ヒジを曲げたり腕を振ってはいけない。
⑯ ボールをとらえた瞬間、送り先の目を見る
この訓練を積む事により、パス動作をしながら周囲がよく見えるようになる。
そして、ボールをとらえる直前にすでに相手の状況が見えて来る。そのため、
コース・コントロールが格段に良くなる。相手の位置がボールを送り出す前に
はっきり見えるので微調整が効くからである。
⑰ ボールの押し出し
a. 上・下半身のバランス
体が伸び終わるまで、上・下半身のバランスは保たれなければならない。
下半身だけが先に伸びきってしまうような状態では、充分に力が加えられない。
b. 押し出し方
あくまでも、相手のところにボールが届くまで「持って行く」感じで押し出す。
はじいて飛ばすのでは自分のところを出たらどこへ行くのやら、これでは
無責任である。丁寧さが必要となる。(来た時の倍の時間をかけて相手に届く
よう、フワッとしたボールを返すよう心がける。)
⑱ 「構え」の直前の状態
ボールを送り出したら、すみやかに「構え」(高い姿勢)に戻らなければなら
ない。ボールを送り出し、「構え」に戻ろうとする、ここまでがパスの一連の
動作となる。(「構え」に戻った時、次の動作が始まっていると考える。)
※ ボールを受ける位置に対する読みは、次の動作をしながら微調整が可能で
あるが、タイミングに関する事は一瞬で決まってしまうので微調整はできない。
よって、タイミングの会得については充分に訓練を積む必要がある。
一つのパスをするためには、ほんの一瞬の間にこれだけの沢山の動作が正確に
行われなければならない。その上ゲームになれば、周囲の動きに合わせた自分の
ポジションや、ゲームの流れの中で自分の果たす役割、どのようなプレーをしなければ
ならないのかといったような事を考えながらプレーをしなければならない。パスの細かい
技術について考えている余裕は全くないのである。従って、ここに示された細かい
技術の一つ一つは、頭で考えなくとも体が勝手にやってくれるようになるまで、日々の
練習の中で繰り返し繰り返しおこなって「身につけて」しまわなくてはならないもので
ある。選手は毎日の練習においてはっきりと練習目標を持って徹底的に繰り返し練習
を行い、指導者は選手にその日その日の練習目標を与えてきびしく判定を下してやる
事が必要である。