各国の航空戦力比較

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内容更新日:2007.12.31.
レイアウト更新日:2024.10.08.

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 何年か前、第二次世界大戦参戦国の工業力を航空戦力の生産力で比較する事を試みた。但し、単なる機数の比較ではなく、1機1機に対する各国の力の差も加味したかった。その方法として「機体重量×生産機数」で比較するか、「エンジンのパワー×機数」で比較するか悩んだが、より細やかな数値を出せる前者を選んだ。
 以下、集計の結果と最終的な比較である。機種は、大戦に参加した種類に限定した。機体重量は、最も生産数の多かった型(代表型)の全備重量を取った。
航空機全体 (種類名をクリックすると詳細が表示されます)
国\種類 戦闘機 攻撃機 爆撃機 偵察機 輸送機 練習機 その他 合計
578+ 125  1507+ 90+ 237+ 39+ 9+ 2588+
275+ 43  669  47+ 49  41  1129+
315+ 25+ 368+ 14+ 19+ 0+ 5+ 746+
158+ 258+ 235+ 6+ 20  677+
101  43  100  31  12  27  2+ 316+
18+ 57  11+ 0+ 0+ 86+
18+ 3+ 14+ 36+


 もともと日米の零戦とヘルキャットの比較に端を発した集計である。零戦:ヘルキャットは28:86で3倍、戦闘機では約6倍、航空機全体では8倍アメリカが勝っている。特に爆撃機(双発以上)は15倍、輸送機は20倍の差がある。日米の国力の差ばかりではなく、戦争をするために必要なものは何かという考え方の違いも、この比較結果に表れている。

 勘違いしてはならないのは、日米の比が1:8だからといって単に100機対800機の戦いではないという事である。例えば戦争開始時50:50だったとする。時間が経過してお互い25づつ損失を出したと仮定すると、この時点では25:25の互角。そしてお互いに50づつ補給をすると75:75。更に経過して25づつ損失を出して50:50。ここまでは互角である。問題はこのあとで、100しか作れない方は既に限界なのに対して800作れる方はまだ700補給できるから、0:50の補給を行なって50:100で2倍の差がつく。更に25づつ損失の後補給を行なえば、25:125で5倍の差となる。こうしてどんどん差が広がっていく。大戦末期の日米の差は、まさにこのような状態であった。国力の差を無視した日本の末路である。
 なお、この表にはないが航空機を戦力として考える時、それを支援する機材を無視することはできない。滑走路を整備するブルドーザ等、日米の差はかなり大きかったと聞く。支援機材まで含めると、日米の差はこの表以上にあったに違いない。

 戦後60年、アメリカを越えたと豪語する日本人は増えた。しかし、はたして今の日本は、「国力」がついたと言えるだろうか。大体今の日本は、「国力」を養う努力をしていると言えるだろうか。この表の数値は戦争能力の値であるが、生活能力を「国力」として捉えてみるがいい。生活面で言えば今の日本、潤っているのはほんの一握りの人であって、大半の人は苦しい生活を強いられているのではないか。食料自給率だってどんどん下がって、日本の農業は崩壊寸前だ。工業力で言えば、世界に通用する技術の育成を、国を挙げて行なっているだろうか。そのための教育システムを確立しようとしているだろうか。受験戦争は、優秀な人材を多く育てる助力にはならず勉強嫌いを増やすばかり。大きな産業を支えるはずの中小企業を育成する努力をしているだろうか。日本は、敗戦からいったい何を学んだのであろうか…。戦争をしろと言っているのではない。自分達の国力を正しく見極め、その国力で将来どういう生活を国民が営むのかを考えなければならないのではないだろうか。